キジハタ(アコウ)は、青森県以南〜瀬戸内海〜九州までの日本各地で生息するロックフィッシュ、ハタ類の魚種です。
藻の多い岩場に多く居着き、内湾の堤防やゴロタ周辺でも生息し、西日本では『アコウ』の名で知られている、ロックフィッシュ釣りの中でも特に人気の魚種です。
筆者である私も、神戸や京都を中心にメインターゲットとして狙っているロックフィッシュで、最盛期である初夏〜初秋は、このキジハタ(アコウ)だけを狙う海釣りを楽しんでいます。
最大60cmクラスまで成長するキジ色の目を持つ中型のハタ類
※つりにっき ~カヤックで釣り in 福岡~さんから引用
『キジハタ』という名前の由来は、キジ(鳥)の首から腹にかけての羽の色(鮮やかな緑)のような目を持つことが由来で、上記の写真では分かりにくいですが、太陽の光が入ると、とても綺麗で特徴的な目をしています。
ハタ類の中では中型で、最大60cm近くにまで成長する個体もいます。
オレンジ色の体色をしており、体全体に黄色や赤色の斑点に覆われていて、背中の中央に大きな黒い模様(斑紋)が一つあり、体側に3本の白っぽい黄色の縦模様があります。
成長が非常に遅く30cmほどになるまで4年かかり成長するとオスに性転換する
キジハタ(アコウ)は成長が非常に遅く、孵化して3年で25cm、4年で30cm程度に成長します。
全てメスとして孵化し、30cm〜40cmほどまで成長すると、オスに性転換する性質を持っているのも特徴的です。
水温が低い冬から春の時期は深場に身を潜め、真冬の最も寒い時期は、週に1回しか捕食しないこともあります。
水温25度を超える夏の時期になるとショア(岸)から狙える範囲に大型のオスが接岸してくる
キジハタ(アコウ)の産卵期は7月〜8月で、この時期になると海水温も25度を超え、低水温時に沖の深場にいたオスがショア(岸)から狙える範囲にまで接岸してきます。
ですので、大型のオスをショアから狙うのであれば、夏が最も狙いやすいのです。
また、小型のサイズであれば、ある程度の水温があれば釣ることができますし、最盛期の夏だと簡単に2桁釣れたりします。
大型のキジハタ(アコウ)を狙うなら水深10m以上の磯場や防波堤
夏場になり水温が上がってくると水深50cmほどのシャロー(浅場)でも比較的簡単に釣ることができますが、40cm以上の大型はディープ(深場)に潜んでいることが多いです。
水深が10m以上の急深の地磯や防波堤で、地形の変化が豊富なところが理想的です。
カニやエビなどの甲殻類を捕食しているがベイトフィッシュ(小魚)も捕食する
キジハタ(アコウ)は常に底にべったりついており、カニやエビなどの甲殻類だけを捕食しているイメージ(初心者の時の私)がありますが、朝マヅメや夕マズメなどの活性が高い時は、ベイトフィッシュ(小魚)を捕食することが多くなります。
もちろん甲殻類も捕食していますが、大型の個体ほどベイトフィッシュ(小魚)を好んで捕食する傾向にあります。
夏のフグとも言われるほど美味しい1kg7000円も値がつく高級魚
キジハタ(アコウ)がよく釣れるシーズンは夏ですが、食べる意味でのシーズン(旬)も夏なのです。
産卵(繁殖)のために体力をつけなければいけないので、積極的に捕食するため、旬のキジハタ(アコウ)は、プリップリで脂がのっており、白身魚でありながら深い味わいです。
とれたての活け造りは、歯ごたえのあるしっかりとした食感で、煮付けにしても非常に美味しい魚です。
また、お刺身で食べる場合は、2〜3日冷蔵庫で寝かし身を熟成させると、食感は柔らかくなりますが、更に味わい深くなります。
幻の高級魚と言われているぐらいなので、値段もとても高く、活魚(生きている状態)だと、1kgあたり7000円もの値がつくこともあります。
本当に高級なのは大型で小型のキジハタ(アコウ)はあまり価値がない
どれだけキジハタ(アコウ)が高級魚だと言っても、小型のサイズはそれほど高級魚ではありません。
上記でも述べましたが、30cm未満のサイズはほとんどがメスで、抱卵していたり産卵後の個体は、卵に栄養分がいってしまっているためか、味わいが落ちます。
ちなみに、私がキジハタ(アコウ)を釣りに行く地方のスーパーで、稀に小型のキジハタ(アコウ)が売られていますが、3匹で500円ぐらいで売られているのを見たことがあります。
本当の意味での高級魚として扱われているのは、40cm以上の大型の個体で、キジハタ(アコウ)は、サイズが大きければ大きいほど味が良く、値段も高値で取引されています。
人工的に卵を孵化させて放流する動きが活発になっている
漁業を支えるため取り組みで、大阪や神戸・淡路島、山口県、鳥取県など、西日本を中心に、2010年頃から人工的に卵を孵化させて、キジハタ(アコウ)放流する動きが活発になっています。
20年ほど前の技術では、卵の採集も難しく、人工的に数を増やすことはできなかったのですが、研究が進んだことで放流できるようになりました。
ちなみに大阪湾でのキジハタ(アコウ)の漁獲量は、1990年代後半から2000年代前半にほぼゼロになったそうです。
神戸(淡路島)・大阪の阪神圏もキジハタ(アコウ)のメッカになるかも?
放流する際の研究として、個体にGPSやタグなどを付け、その後の調査をしたところ、キジハタ(アコウ)は定着性が非常に強く、多くの個体が放流場所から約1km圏内に留まることがわかってきたそうです。
実際に、放流が盛んに行われている大阪の泉南市や貝塚市などで、40cm以上の大型サイズが釣り上げられている情報が多くなっているようにも思います。
この調子でどんどん放流する数が増えると、阪神圏でも瀬戸内のように、キジハタ(アコウ)釣りのメッカになる日も、そう遠くないのかもしれませんね。
まとめ
- 最大50cmクラスまで成長するキジ色の目を持つ中型のハタ類
成長が非常に遅く30cmほどになるまで4年かかり成長するとオスに性転換する - 水温25度を超えるとショア(岸)から狙える範囲に大型のオスが接岸してくる
大型のキジハタ(アコウ)を狙うなら水深10m以上の磯場や防波堤 - カニやエビなどの甲殻類を捕食しているがベイトフィッシュ(小魚)も捕食する
- 夏のフグとも言われるほど美味しい1kg7000円も値がつく高級魚
本当に高級なのは大型で小型のキジハタ(アコウ)はあまり価値がない - 人工的に卵を孵化させて放流する動きが活発になっている
神戸(淡路島)・大阪の阪神圏もキジハタ(アコウ)のメッカになるかも?
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