釣り人にとってラインは、人と魚を繋ぐたった1本の生命線です。
どれだけ高級なロッドやリールなどを揃えても、ライン選びを大きく間違ってしまっては、元も子もありません。
ライン選びとは、それぞれのターゲット(魚)の大きさや性質、使用するルアーなどに合わせたラインを使用することです。
では、私たちがターゲットにしているメバルには、どのようなラインが最も適しているのでしょうか?
素材によるメリット・デメリットやメバリングに最適な強さ・太さ、実際に使用してほしいメバリング用におすすめのラインをご紹介していきます。
メバリングに求められるラインの理想的な条件は細さ・感度・強度・風と潮の影響・操作性
10cm〜30cmほどの小さな魚を狙うメバリングは、ルアー釣りの中でもかなり細いラインを使用します。
ラインを細くすることで初めて、1g前後の軽量ジグヘッドや5g以下のプラグやメタルジグを扱うことができます。
ラインは細ければ細いほど飛距離が稼げ、風などの影響が軽減され、より繊細な釣りができますが強度が失われ、逆に太ければ太いほど強度が強くなりますが、繊細な釣りがしにくくなります。
また、ラインは素材によりメリットとデメリットが存在し、それを加味しながらメバリングに求められる最適なラインを選ばなくてはいけません。
メバリングに求められるラインの理想的な条件とは
- 細さ:出来るだけ細く
- 感度:高感度である
- 強度:切られない強さ
- 風と潮の影響:流されない
- 操作性:自分が思うようにルアーを動かせる
となります。
ナイロン・フロロ・エステル・PEラインそれぞれの特性とメリット・デメリット
エサ釣り・ルアー釣り関係なく、一般に市販されているラインの種類は、ナイロンライン、フロロカーボンライン、エステルライン、PEラインの4種類あります。
そして、この4種全てのラインをメバリングで使用することができます。
しかし、それぞれに特性があり、メリット・デメリットが存在するので、まずはそれぞれのラインがどのような性質を持っているのかを知る必要があります。
ナイロンラインは扱いやすさとノリの良さがあるが感度が悪く劣化が早い
『魚釣り』というジャンルで一番使用されているのはナイロンラインです。
メバリングに関しても、ナイロンラインを使用している人はおり、メバリング専用の商品もあります。
しかし、個人的にメバリングにナイロンラインを使用することをあまりおすすめしません。
その理由は、他のラインよりも感度が悪く劣化が激しいなどのデメリットが多く、それを覆すほどのメリットがないからで、私自身もナイロンラインをメバリングに使用することはありません。
- メリット
扱いやすい・値段が安い(一つだけ買うなら)・ノリが良い - デメリット
比重がやや軽い(沈みにくい)・感度が悪い・強度があまり強くない・劣化が早い
ナイロンラインは初心者に一番おすすめ!と聞いたことがある方も多いと思いますが、ここでいう初心者とは、ルアー釣りの経験がない・始めたばかりの人のことで、メバリングだけを指しているわけではありません。
もちろんナイロンラインには、ノリが良い(メバルのアタリを弾かない)・ライントラブルが少ないというメリットはありますが、感度の悪さと劣化の早さ(交換時期が早い)はかなりのデメリットになります。
また、ナイロン以外のラインが劇的に扱いづらいわけではなく、次に出てくるフロロカーボンラインであれば、それほど大差はないので、よほど釣りの経験がない方やとにかくノリ重視の方以外は、ナイロンライン以外を使った方がいいでしょう。
- ライントラブル:扱いやすい
- 感度:良くない
- 強度:良くない
- 比重:約1.14(やや沈みにく)
- 交換頻度:かなり早い
- 値段:安い
- おすすめ度:50点
フロロカーボンラインは欠点がほとんど無くどのような状況にも対応できる
フロロカーボンラインは、メバリングでよく使用されていて、デメリットがあまりない万能なラインです。
強いてデメリットを挙げるなら、PE・エステルラインに比べると、感度と飛距離が劣るぐらい(厳密にはPE・エステルが良すぎるだけ)で、逆に、PE・エステルラインのデメリットを補える部分もあったりと、トータル的にデメリットが少ないラインと言えます。
- メリット
水に沈みやすい・風の影響を受けにくい・ボトムでの使用に最適・根ズレに強い - デメリット
PE・エステルに比べると感度・飛距離が劣るが特に問題ではない
フロロカーボンラインは、比重があるので風と潮の流れの影響を受けにくいため、風の強い日や潮の流れが早い場面でかなり重宝します。
中でも、軽量リグ(ルアー)を扱うメバリングにとって風はかなり天敵で、場合によっては釣りができない時もあり、キャストできたとしても、ラインが風に流され上手く動かせなかったり、必要以上に重いジグヘッドを使用しなくてはいけなかったりします。
そんな時でもフロロカーボンラインなら対処しやすく、多少の風や潮の流れが早くても、いつも通りの軽量ジグヘッドやルアーを扱うことができます。
- ライントラブル:やや多い(特にバックラッシュ)
- 感度:良い
- 強度:引っ張りは普通で根ズレには最も強い
- 比重:約1.78(沈みやすい)
- 交換頻度:普通
- 値段:普通
- おすすめ度:90点
エステルラインは感度が良く風の影響を受けにくいが瞬発的な引っ張りに弱い
エステルラインとは、ポリエステルのモノフィラ(単一繊維)ラインで、伸びが少なく感度が良い素材で、ライトゲームに適しているラインですが、メバリング用ラインとしてはあまりおすすめしません。
その最大の理由は、瞬発的な引っ張りに弱いからです。
これは、ドラグを緩めにすることで対処できるのですが、メバリングに関してはドラグを必要以上に緩めると根に潜られやすくなってしまうため、おすすめできません。
- メリット
感度がすごく良い・PEよりも水に沈みやすい&風の影響を受けにくい・飛距離が稼げる - デメリット
瞬発的な引っ張りに弱い・扱いにくい・値段が高い&交換頻度が早い
ストラクチャーがない場所であればドラグを緩めても問題はないのですが、岩場やテトラが近くにある場所を攻める場合は致命傷になります。
メバリングと混同されがちなアジングであれば、この心配はかなり低いため多くの方がエステルラインを使用されていますが、ストラクチャーの際を攻めることが多いメバリングになると話は変わってきます。
軽量ジグヘッド単体メインで感度と飛距離を最優先し、風の影響を絶対受けたくない方以外は、エステルラインは使用しないことをおすすめします。
もし使用する場合は、必ずリーダーを組むようにしましょう。
- ライントラブル:やや多い・リーダーが必要
- 感度:すごく良い
- 強度:瞬発的な引っ張りにとても弱い
- 比重:約1.38(フロロとPEの間)
- 交換頻度:早い
- 値段:高い
- おすすめ度:40点
PEラインはメリットが多くメバリングに適しているがデメリットもある(対処可能)
PEラインは、引っ張り強度が高く、4種の中で1番の高感度を誇り、飛距離も稼げます。
その一方、風にめっぽう弱く、根ズレに弱く、比重が軽いため水に沈みにくく、常にラインを張っていないと感度が最悪など、メリットが多い分デメリットも多くあります。
- メリット
感度(ラインを張れば)と引っ張り強度が断トツに良い・ルアーを操作しやすい・飛距離が稼げる - デメリット
ラインを緩めれば感度が最悪・風にめっぽう弱い・ライントラブルがかなり多い・根ズレに弱い・比重が軽いので水に沈みにくい
他にも、PEラインはフニャフニャした素材でコシがないのでガイドなどに絡みやすく、絡まった状態でキャストするとラインが切れてしまったり、最悪の場合ロッドが折れてしまうこともあり、ある程度慣れが必要になってきます。
また、ラインがたるんだままの状態でリールを巻くとハンドルに絡まったり、バックラッシュの原因になり、PEラインは一度絡まるとなかなか修復できないことが多くかなりストレスになります。
しかし、PEラインにはデメリットが多くありますが、対処可能な部分も多く、以下を克服できれば1番におすすめしたいラインとなります。
- 感度:ラインを緩めなければ断トツの高感度は維持されるので、極力ラインを張った状態に保つ。
- ライントラブル:感度だけでなくライントラブルも常にラインを張った状態にすることで回避しやすい。
- 風・潮流:追い風になるように立ち位置を変えたり風裏のポイントを探す、プラグや重めのリグ(フロートやスプリット)を使用する。
- 根ズレ:太めリーダーを組む。場合によっては長くする。
また後ほど記述しますが、使用するルアーによってはPEラインを最もおすすめできる(性能を発揮できる)場合があります。
- ライントラブル:かなり多い・リーダーが必要
- 感度:断トツに良い(ラインを張れば)
- 強度:かなり強い(根ズレには弱い)
- 比重:約0.97(かなり沈みにく)
- 交換頻度:遅い(一番長持ち)
- 値段:高い
- おすすめ度:90点
メバリングに適しているラインはフロロカーボンかPEライン
ここまでを踏まえると、メバリングに適しているラインはフロロカーボンラインとPEラインになります。
この2種のみに焦点を当てると
- 細さ(遠投性)
フロロ:★★★☆☆
PE :★★★★★ - 感度(ラインを張った状態)
フロロ:★★★☆☆
PE :★★★★★ - 強度(根ズレは除く)
フロロ:★★★☆☆
PE :★★★★★ - 風と潮の影響を対処
フロロ:★★★★★
PE :☆☆☆☆☆ - 操作性(アクションを付ける)
フロロ:★★★☆☆
PE :★★★★★ - ライントラブルの少なさ
フロロ:★★★★☆
PE :★☆☆☆☆
と、点数的には同じになります。
近距離戦でジグヘッド単体=フロロカーボンライン・様々なルアーで遠距離戦=PEライン
では、最終的にどちらのラインがメバリングに適しているのか?
それは、頻繁に使用するルアーやロッド、攻めたい距離などで使い分けることをおすすめします。
- 短いロッド・ソリッドティップ・近距離をジグヘッド単体で攻めることが多い
=フロロカーボンライン - 長いロッド・チューブラーティップ・遠距離をプラグやフロートやスプリットで攻めることが多い
=PEライン
上記以外で使い分けたい場合は
- どのような状況にも対応しストレス無く使いたい
=フロロカーボンライン - 感度重視でジグヘッド単体以外も使いたい
=PEライン
となります。
また、2タックル用意している方やプロの方は、近距離戦・ジグヘッド単体用はフロロカーボンライン、中距離戦・プラグ用と遠距離戦・フロートやキャロ用はPEライン、と使い分けている方が多いです。
PEラインは高いと言われているが交換時期を考えるとフロロカーボンラインと大差はない
市販されている一般的なラインの値段を見てみると、フロロカーボンライン(100m)が約1200円前後、PEライン(150m)が約2500円前後(中にはかなり高い商品もある)で売られています。
値段だけ見ると、PEラインの方が高いと感じますが、交換頻度(劣化速度)は、PEラインが1とするならフロロカーボンラインは2以上です。
使用頻度やメンテナンスにもよりますが、週に一回の釣行と仮定すると交換頻度や目安は以下となります。
- PEライン
交換頻度:1シーズンに1回程度
交換目安:釣行毎に毛羽立ちがあれば数mカットし巻量が短くなれば交換 - フロロカーボンライン
交換頻度:1シーズンに2〜3回程度
交換目安:糸よれ・巻きグセが酷くなると交換
平均的にこれぐらいで交換するのが、劣化によるライントラブルやラインブレイクを軽減できます。
また、PEラインは釣行(使用)しなければ劣化することがないのに対し、フロロカーボンラインはリールにラインを巻いた時点で劣化(巻きグセ)が始まります。
月に一回程度しか釣りに行かないという方は、PEラインであれば2年ぐらい交換しなくても問題はないのですが、フロロカーボンラインの場合は使用しなくてもしていても交換頻度は変わりません。
このことを踏まえると、値段的にはPEラインの方が高いのですが、交換することを考えるとフロロカーボンラインと大差はなく、場合によっては高くつきます。
フロロカーボンラインは2〜4lb(0.5号〜1号)がおすすめ
ここから実際のlb数(強さ)やおすすめ商品をご紹介します。
メバリングにおすすめなフロロカーボンラインの強さ・太さは、2〜4lb(0.5号〜1号)です。
細ければ細いほど、軽量リグでもキャストしやすく、風や潮の影響を受けにくいのですが、最低でも2lb以上は必要です。
細いラインをドラグで調整することも可能ですが、テトラや岩などに潜られてしまう可能性が高いため、ある程度の強度に耐えられる強さ・太さを保ちつつ、繊細な釣りができるのが、2〜4lb(0.5号〜1号)なのです。
フロロカーボンラインは、軽量なジグヘッド単体を使用するのに向いているので、よく使用する重さとよく釣りに行く場所を加味しながら太さ・強さを選ぶのがいいかと思います。
- 2lb=1g以下のジグヘッドもよく使う・それほどストラクチャーがない漁港
- 3lb=1〜1.5g程度のジグヘッドをよく使う・テトラ際や藻場などよく攻める
- 4lb=1.5g以上のジグヘッドもよく使う・小規模の地磯や岩場などよく攻める
また、小さいサイズを気軽に数釣りしたい場合は細めで、大型サイズもよく釣られているポイントなどでは太めのラインを選ぶのも一つです。
メバリングにおすすめなフロロカーボンライン3選
フロロカーボンラインと言えばこれ!と断言できるほど人気のシーガーR18フロロリミテッドです。
しなやかで扱いやすく、どこの釣具店でも売っているほど流通しているので、手に入れやすいのも魅力です。
ダイワのライトゲーム専用ブランド月下美人のフロロカーボンラインです。
ライトゲーム専用なので、0.5lb(0.1号)刻みのラインナップがあるのも魅力です。
サンラインから発売されている、ライトゲーム専用のフロロカーボンラインです。
耐塩水コーティングが施されていたりと、よりソルトゲームでの使用に適しており、しなやかなだけでなく操作性も考えられた仕様になっています。
PEラインは0.2〜0.4号がおすすめ
次にPEラインですが、メバリングにおすすめな太さは、0.2〜0.4号です。
フロロカーボンと比べ、同じ強さでもかなり細いラインを使用でき、0.2〜0.4号の太さであれば十分なほどメバルに対応できます。
ただ、一点注意が必要なのは、同じ号数(太さ)でもメーカーによって耐えれる力(強さ・lb)が違うので、それぞれの商品のスペックをしっかりと見極めなくてはいけません。
それでも、PEライン特有の感度の良さやアクションのつけやすさなどは、そこまで大差はありませんので、自分の求めている強さ・lbを見逃さないようにしましょう。
また、PEラインには数多くの種類があり、コーティングすることで耐摩耗性が高められていたりハリを持たせていたりするものや、高比重に加工されていたりするものなどがあります。
PEラインを選ぶ基準としては、メインに使用するルアーを目安に選ぶのがおすすめです。
- 0.2号=軽量ジグヘッド単体がメイン
- 0.3号=ジグヘッド単体もプラグや軽量なフロートリグやメタルジグなど幅広く使う
- 0.4号=プラグや重めのフロート・キャロ・メタルジグがメイン
あと、風や潮の影響を受けにくいタイプや水に沈みやすいタイプなどの特殊なPEラインには、何かしらのデメリットがあるので、それを許容できるかの注意も必要です。
1500円〜2500円以下で買えるメバリングにおすすめなPEライン4選
PEラインはフロロカーボンラインと違い値段の幅がかなり大きく、高いものだと5000円〜9000円もする商品(これが高いと言われる所以)もあります。
しかし、PEラインは3000円以下で買える商品も多く、安くても本格的にメバリングを楽しめるので、ここでは2500円以下(アマゾンなら)で購入できるおすすめPEラインのみをご紹介します。
初心者に優しい価格設定でお馴染みの、メジャークラフトから販売されているPEラインです。
値段もかなり安く、抜きん出た特徴はありませんが、PEラインがどんなものかを試したい方におすすめです。
高強度・高耐久性・高操作性と品質がかなり高いながら、低価格で購入できる超人気のPEラインです。
また、強度がかなり高いので、一回り細いサイズでも安心して使用することができます。
ラインの表面にフロロ粒子がコーティングされているので、PEライン最大の欠点である風の影響と根ズレが軽減されており、水なじみもよく、フロロカーボンとPEラインの間のような感覚で使用できます。
ただ、ラインがコーティングされている分、通常のPEラインには無い巻きグセが多少付いてしまうことがあるので、注意が必要です。
それでも、フロロカーボンほどの巻きグセではありませんし、PEラインの最大の欠点を軽減されていることや値段を考えるとかなりおすすめです。
PEラインでは珍しい、高比重(水に沈みやすい)のラインです。
高比重のPEラインならフロロカーボンまではいかなくても、ナイロンラインと同じぐらいの比重(このラインは比重1.18)なので、1g以下の軽量ジグヘッドでも沈ませやすく、普通のPE(浮いてしまう)なら少しの風でも浮いてしまう・流されてしまう場合でも、対処しやすくなります。
ただ、他のPEラインに比べ、強度が弱いのが欠点です。
まとめ
- メバリングに求められるラインの条件は細さ・感度・強度・風と潮の影響・操作性
- ナイロン・フロロ・エステル・PEラインそれぞれのメリット・デメリット
ナイロンラインは扱いやすさとノリの良さがあるが感度が悪く劣化が早い
フロロカーボンラインは欠点がほとんど無くどのような状況にも対応できる
エステルラインは感度が良く風の影響を受けにくいが瞬発的な引っ張りに弱い
PEラインはメリットが多くメバリングに適しているがデメリットもある(対処可能) - メバリングに適しているラインはフロロカーボンかPEライン
近距離戦でジグヘッド単体=フロロカーボンライン・様々なルアーで遠距離戦=PEライン
PEラインは高いと言われているが交換時期を考えるとフロロカーボンラインと大差はない - フロロカーボンラインは2〜4lb(0.5号〜1号)がおすすめ
- PEラインは0.2〜0.4号がおすすめ
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